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「あ、はい」
「宜しく伝えて下さい。また今度、ご挨拶にも伺いますが」
「今日は止めとくよ。二人の邪魔しちゃ悪いしね」
にこやかに言った至聖を、不思議に思って見上げる。
「荷葉さんも私も、お二人を邪魔だなんて思いませんけど……」
「う、うん。それはそうかもしれないけどね……」
再び苦笑を浮かべた至聖は、真宵と視線を合わせた。
視線を交わす二人を見て、何とも言えない感覚が駆け巡った。
本当に仲が良さそうで、幸せそうで。
お互いがお互いを想っている事が、良く分かるから。
誰かを好きになるのは。
誰かを強く想うのは。
苦しくて切ないだけではないのかもしれない。
胸が痛くなるほど、もう止めたいと想うほど。
苦しくて切ないだけではないのかもしれない。
みんな、誰でも。
あんな苦しみを痛みを抱えて乗り越えて。
幸せそうに笑っているのか。
それほど、人を想うのは。
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