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日も落ちて、冷えた空気が頬を刺す。
店の明かりが届く場所で立ち止まり、真宵がこちらを見た。
「……良かったです。桔梗さんが元気そうで」
「色々思い出したんだよね?話は聞いてるよ」
至聖にも案じるように言われて、思わず息を飲む。
「まさか、五十嵐さんと華原さんも……」
「うん。だから陰ながら応援してるよ。いつも」
世界の理が歪んで、混ざり合って。
繋がった、本来なら異なる世界で生きている人。
「……いつも、私を見守ってくれていたんですか?」
先輩として、そしてその恋人として。
近くから、遠くから、いつも。
「見守る事しか出来ないからさ、俺達は」
「……いいえ。有り難うございます」
苦笑する至聖に首を振り、頭を下げる。
「お礼なんていいですよ、桔梗さん。私達は、友達でしょう?」
真宵は微笑んで続ける。
「それと、これから会うんですよね?貴女の大切な人に」
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