再奥

4/12
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/211ページ
日も落ちて、冷えた空気が頬を刺す。 店の明かりが届く場所で立ち止まり、真宵がこちらを見た。 「……良かったです。桔梗さんが元気そうで」 「色々思い出したんだよね?話は聞いてるよ」 至聖にも案じるように言われて、思わず息を飲む。 「まさか、五十嵐さんと華原さんも……」 「うん。だから陰ながら応援してるよ。いつも」 世界の理が歪んで、混ざり合って。 繋がった、本来なら異なる世界で生きている人。 「……いつも、私を見守ってくれていたんですか?」 先輩として、そしてその恋人として。 近くから、遠くから、いつも。 「見守る事しか出来ないからさ、俺達は」 「……いいえ。有り難うございます」 苦笑する至聖に首を振り、頭を下げる。 「お礼なんていいですよ、桔梗さん。私達は、友達でしょう?」 真宵は微笑んで続ける。 「それと、これから会うんですよね?貴女の大切な人に」
/211ページ

最初のコメントを投稿しよう!