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「はっ!!…気のせいか」
後ろを振り返っても誰もいなくて、ホッと胸を撫で下ろした。
ワラ人形を三体作り次は使い魔のトレーニングだ。
テーブルの上にあった小型ナイフを取り出す。
普段はタッチ一つで召喚するが実際にやるとなるとちょっと怖いな。
人差し指をピッと切りつけると小さな痛みと共に人差し指に熱を感じた。
それを一滴床に垂らすと先ほどの師匠のように大きな黒い水溜りが魔法陣になり、使い魔が現れた。
俺の使い魔は不気味な姿をした黒猫の人形だ。
あちこちに綿が出てて目のボタンが片目取れかかっていて、手には血で濡れた包丁を握りしめていた。
口は縫われていて喋る事は出来ないが瞬発力は高い。
今も俺の周りを飛び回っていて、元気な事をアピールしていた。
服装ガチャで猫耳フードとセットで出てきた「ミュミュ」という名のキャラだ。
「じゃ、トレーニング行くぞミュミュ!」
俺はトレーニングをするために狩り場に向かった。
ミュミュは無言で俺の後ろを着いてきていて、可愛いと思った。
そんな俺達を熱く見つめる視線に早く終わらせたいと思ってばかりいた俺は気付かなかった。
「…待ってたのに告白に来ないから可笑しいと思ってたらこんなところにいたのか…もう逃さないよ、俺の花嫁」
ふふふふっ、とグリモワールより不気味に笑う麗しの騎士様に周りのグリモワール達はビビっていた。
何故職業剣士である騎士がこの森に入れたのか謎だが、怖くて聞く勇気はなかった。
騎士の影が追いかけるように俺達に向かって伸びていく。
やってきたのは師匠の家の裏庭にあるトレーニング場。
此処には自分の現在レベルに合ったレベルのモンスターが出てくる。
呪いの森だからゴースト系のモンスターを主に生息している。
さわさわと木が揺れて、俺のローブも風に揺らぐ。
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