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俺の現在レベルは55、だからゴーストのレベルはプレイヤーレベルに合わせた50となっている。
こりゃあ、居眠りしていつの間にか終わってた舐めプ戦闘は出来なさそうだ。
「行くぞミュミュ!」
ミュミュはやる気満々で包丁をキラリと輝かせてゴーストに襲いかかる。
ゴーストは消えるのが厄介だが、動きが遅い…ミュミュ相手だと苦戦するだろうな。
消える前に背後を取り頭に被ってる布を切り刻む。
ゴーストの本体は布で、勝つと魂が浄化され天にのぼる。
俺もローブの下から本を取り出して、攻撃しようとした。
これが俺の武器である、グリモワールにとって必需品だ。
本に書かれた文字に触れ弾き出すように手を前に出すと空中に魔法陣が現れて詠唱すると発動する。
パラパラと本を捲り指でなぞると、指先が温かくなる。
「死せる死神よ、我が前に集え…我の名はグリモワール使いツカサ!」
厨二病みたいで恥ずかしいが、無事発動して黒い炎でゴースト達を焼き払った。
この力は人の魂にしか反応しないから周りの木などには被害がない。
…夢だから気にしなくていいと思うが、何となく…な。
ミュミュがこちらに近付いてくるから手を上げてハイタッチをしようとする。
…あれ?なんか猛スピードで来るんだけど、どうかした?
ミュミュを呼ぼうと口を開くと背後でぐちゃっとなにかが潰れる音がした。
恐る恐る振り返り、俺は顔を青ざめて一歩後退った。
俺の背後にまだ一体ゴーストが残っていたみたいで気付かなかった。
そしてそのゴーストを仕留めたのは、ドス黒い家を掴めるほどの巨大な真っ黒い手だった。
ゴーストがジタバタ暴れて逃れようとするが、手が包み込むように握り潰した。
天にのぼる魂をボーッと見ながらミュミュが到着した。
…そっか、ミュミュはゴーストと手を知らせようと駆け付けてきたのか。
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