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ふかふかのベッドの上で気持ち良さげに寝返りを打つ。
いいニオイが鼻を通り、安らかな眠りを誘う。
…何だろう、ぬるぬるとした感触で足がくすぐったい。
まるで犬に舐められてるみたいなそんな感じだ。
もぞもぞと足を擦り合わせながら動かしてかゆみから逃れようとする。
「コラコラ、たろー…ダメだろ…むにゃむにゃ」
愛犬のタロウがまた部屋に入ったのかと思い、寝ぼけながら緩く叱る。
大型犬だが、甘えん坊のタロウは家族の中で俺に一番なついていた。
子供の頃から一緒にいる可愛い俺の大切な家族だ。
頭が覚醒せず口をもごもごさせながらタロウに触れようと腕を伸ばす。
しかし、なんかタロウのふわふわした毛の感触ではなかった。
それでも深く考えようとはせず、二度寝しようかと思ってたら舐めるのを止めて枕元がギシッと軋んだ。
「……たろうって誰だ」
低くドスがきいた声がして無意識に寒気で震えた。
あれ?なんか人語が聞こえるけどタロウ喋れるんだっけ?
いやいやそんなバカな、タロウが人語を話すなんて初耳だぞ。
それによくある犬の鳴き声が空耳に聞こえるレベルではなかった。
まだ寝ぼけた目蓋をゆっくりと開けて、目の前の光景を見つめた。
そして一気に覚醒して、ベッドから飛び起きた。
「俺がいながら…誰だその男は…俺のもんに手を出した事を後悔させてやる」
「いやぁぁぁっっ!!!!!」
目の前に物凄い怖い顔で怒る超イケメンがいて、とりあえず枕を投げつけた。
顔面ヒットして少し気が緩んだところで慌ててベッドから出て部屋の隅に逃げる。
…あれ?この部屋、見慣れた俺の部屋じゃない?
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