第1章・目が覚めたらMMORPG

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俺は今、とてもハマっているゲームがあった。 それはMMORPGの「シャドウナイト」というスマホゲームだ。 エンジェルダークネスという世界で悪の魔王を倒すという内容のゲームだ。 普通のMMORPGみたいに戦うだけではなく、釣りをしたり料理をしたり職業にあった事が出来る。 その中でもお気に入りなのが闇を司るグリモワールという闇魔術師だ。 服装は基本真っ黒なローブで暗いが、魔法は攻撃型で強い。 そしてこのMMORPGのウリといえばなんといっても、NPCと結婚が出来るという。 俺は断然王都グレンの酒場のレイチェルちゃんを口説きまくっている。 レイチェルちゃんは豊満な胸を大胆な服で見せて大人の色気で酒場の野郎達を癒している。 でもレイチェルちゃんは難攻不落だと言われていて誰も結婚した事がないらしいとチャットで聞いた。 一時は結婚出来ないキャラクターかと思ったが、プレゼントで好感度が上がるシステムでレイチェルちゃんにあげられるから好感度が上がってるみたいだから結婚出来る筈。 しかし99%分のプレゼントを渡し、残り1%は告白で100%になり結婚となるが高価な品をあげても俺のレイチェルちゃんへの好感度は15%しかない。 50%で恋人っぽい台詞が聞けるのに、一生無理な気がする。 しかしそこはゲーマー魂に火が付き、レイチェルちゃんが見向きもしないから他のNPCに行く奴らとは違いストーカーのようにしつこくプレゼント攻撃をしている。 くそっ、闇魔術師ならゲスな魔法とかないのか…相手を惚れさせる惚れ魔法とか! そして寒い季節の冬、一年に一度しか見ない親戚からお年玉を貰い課金した。 こんな時ぐらいしか10連ガチャとか出来ない。 …バイトしようかな、あ…俺の学校バイトに親殺されたみたいに厳しいから無理かな。 いいもの来いっ!と祈るとスマホが震えた。 これはURが来た事を知らせる胸熱演出だった。 期待でドキドキしながら見てみると、特別会話が聞けるという冬限定のあったかマフラーのプレゼントだった。 特別会話!…あの難攻不落のレイチェルちゃんの会話が聞けると嬉しさのあまりガッツポーズした。 早速酒場に行きレイチェルちゃんに貢ぎまくった。 やはり特別会話だからかいつも素っ気なく「ありがとう(いくらで売れるかしら)」という切ない会話しかしないが、キラキラのモーションが背景にあった。 しかも、いつもの愛想笑いではなくほんのり頬が赤い。
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