第1章・目が覚めたらMMORPG

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…そりゃあゼロに挑むぐらいだし100くらいないと無理だろうな。 もしかしてアイツらゼロを倒し隊ギルド? ゼロの倒し方というものをゲーム内のチャットで見た事があった。 実際はガセだったけど、かなり研究している事は分かる。 なんか秘策があるみたいだし、ゼロも多分同じレベルだろうし…ちょっと心配になってきた…いや、本当にちょっとだよ!? 知ってる奴がやられたら目覚めが悪いだけだし! ゲームでは難攻不落に設定してあるだろうけど、これは現実だけど… しかし影は欠伸をしていた、なんか気が抜けるなぁ… お前の主人の話だっていうのに…余裕という事か? 「あれ?ゼロのお嫁さん?」 「違います」 ゼロを倒し隊ギルドの奴らに気を取られていたら、後ろから声が聞こえて驚いた。 条件反射で声がした方を振り向き、否定すると笑われた。 あの人は確かゼロの部屋に来た…同僚? なんかキャラクターでチラッと見た事あるような気がするが、正直興味がなくて名前は忘れた。 ここでは俺達は初対面の筈だから名前を知らなくても当たり前だ。 まぁ第一印象で呼べばいいか。 人懐っこい男は非番なのか私服だった。 しかし何故俺がゼロの嫁になったのか小一時間問いたい。 まさか広まったりしてないよな。 「ねぇちょっと話そうよ、あのゼロを落としたエピソードとか聞きたい!」 炭のエピソードを聞きたいなんて変わってるなと他人事のように思っていたら、ゼロ並みの強引さで引っ張られた。 長話を聞くために、俺は強制的に酒場に連れて行かれた。 俺は長話をするつもりはないんだけど… レイチェルちゃんの酒場じゃなきゃ即帰ってた。 特等席のようにカウンター席に座る。 カウンター越しでレイチェルちゃんをジッと眺めていたら朝っぱらからビールを飲む人懐っこい男に「浮気はダメだよ」と言われた。 浮気じゃないし!と不満気に水を飲む…さっきちょっと高いの買ってお金があまりない。 ゲームとはいえ未成年だから酒を奢られそうになったから断った。 「でさ、ゼロの馴れ初めなんだけど」 「あっ!そうだ!さっきゼロに戦いを挑もうとしてた人が居てですね!」 馴れ初めなんてないし、話したくないから話題を変えた。 何故そんなに馴れ初めが聞きたいんだ、攻略不可男だからか? 俺だってなんであんなもので好きになったのか知りたい。 同じゼロの話題だからいいだろ?と目を丸くして驚く男を見る。 人懐っこい男は八重歯を見せて笑いながらビールを一口飲む。 彼もゼロを知ってるからか余裕そうな顔だった。 しかし、嫌な笑みだな…本当になんか嫌だ。 「ゼロは愛されてるね、恋人に心配してもらえるなんてな」 「あ?」 おっと、つい柄が悪くなってしまった。 何度も言うが心配してるわけではなくてな…べ、別にツンデレじゃないよ! とにかく「何言ってんですか貴方、はぁ?」という顔をした。 人懐っこい男は人の話を聞かない男でもあり「いいなぁー、俺も彼女欲しいなー」とレイチェルちゃんを口説こうとしたから椅子の足を一本折ってやった。 どうだ!座れないだろ!俺の前でレイチェルちゃんを口説こうとするからだ! その後、レイチェルちゃんに怒られたのは察して下さい。
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