168人が本棚に入れています
本棚に追加
影踏みの短剣…売ってないから製作でしか手に入らず、滅多に出来ない希少価値がある使い捨て武器だ。
影踏みの短剣はグリモワールが作るからグリモワールの紋様が短剣に刻まれるが別名呪殺しと呼ばれる武器だ。
だからグリモワールにも他の属性の奴にも効く。
普段は影に刺し相手の動きを止める役割があるが、俺は影を操るから俺の攻撃も止められる……気になってんだろうな。
密かに微笑む。
さすがにこれは失笑する。
本気で俺を倒したいならもっと敵の情報を知っとけよ。
「この短剣、一本だけか?」
「あ?当たり前だ!この一本にどれだけの材料を消費したと思って…」
「足りないな、俺の動きを止めるなら100本はいるだろ」
ざわざわと周りの物の影が揺れる。
視界が薄暗くなっていき、影が大きくなり二人の男は震え上がっていた。
会話を除いて5秒くらいか、10秒もいらなかったなと考える。
俺は攻撃が始まってから一歩も動いていない。
地下はいい感じに暗くて俺のフィールドなんだよ。
大きく姿を変えた影がどんどん延びていき二人組に向かう。
「俺は影使いだぞ、自分の影しか操れないわけないだろ」
男達の影に赤く光る目が見えて、無数の腕が伸びてきて影の中に引きずり込まれる。
影なら他人の影でも操る事が出来る。
ずぶずぶと足を、身体を飲み込んでいき必死に抵抗して暴れている。
しかし、底がない地面から逃れる事は出来ない。
助けてくれと腕を伸ばしてきたが、俺は影踏みの短剣を床から引き抜いて放り投げた。
もがき苦しむ声はやがて小さくなり、姿と共に聞こえなくなった。
もう影はいらないなと、すぐにツカサの影と繋げる。
ツカサの影は俺の影を包み込んでくれて、暖かいとホッとしながら何もなくなった広場を後にする。
俺の特殊能力は他人や物の影を操る事が出来る。
便利のように見えるが、欠点がある。
影は光がないと身を潜めてしまう。
10秒持った奴がその弱点に気付き、それで戦いを挑んで来た。
とはいえ炎の魔術を出せば影を作れるし、俺は剣術もマスターしているから10秒で倒せる。
それさえあれば弱点なんてないようなものだから気にしてない。
…しかし、光が消えたら影が消えてツカサの寝顔が見れない。
俺の影がより強く活発化するのに、それでは意味がない。
一番の死活問題だ…よし、改良してもっと便利な影を作ろうと思った。
最初のコメントを投稿しよう!