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影はしなしなと落ち込んでいる。
むしろなんで俺がゼロのところに行くと思ったんだ?理解出来ない。
師匠はいつも言い訳ばかりの弟子が珍しく素直だから目を丸くして怒る気力もなくなっていた。
ため息を吐いて弟子の頭をポカッと木の杖で叩いた。
地味だが痛い。
「お前が素直にやるとは思ってないからのぅ」
「師匠!許してくれるの?」
「その代わりクエストは二倍じゃな」
師匠が再び鬼のように見えた。
帰ったばかりでクエストに追われ、ゼロの影も手伝ってくれて早く終わった。
師匠がサボらないようにずっと見張っていたプレッシャーとも戦ってクエスト同様倍疲れた。
汗掻いたなぁ…と服を脱ごうとしたら嫌にねっとりした視線を感じた。
その視線は探るまでもなく、俺の下から注がれていた。
「…見んなよ」
脱いだ服を影に落として見えなくする。
猫模様のパジャマに着替えてベッドに潜り込む。
今日は過労が溜まり、すぐに眠りについた。
なんか変な夢を見た。
周りが暗い、此処は何処だ?
奥に一筋の光が見えて手を伸ばす。
手がなにかに絡みつき引き寄せられて光が周りを包み込んだ。
目の前に見えたのは肌色。
ーツカサ、俺の妻になるよなー
「ぎゃあぁぁっ!!!!」
勢いで起き上がる。
まだ外は暗い。
なんでゼロと裸で抱き合ってんだよ…
目を閉じたらまた見そうで頭を抱えてモヤモヤしていた。
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