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ー…かさ、つかさ…ー
ゆらゆらと揺れる夢の中から俺を呼ぶ声が聞こえる。
まだ眠いから煩わしく感じて耳を両手で塞ぎ相手が諦めるまで待つ。
まだ冬休みなのにまた母さん学校に行く時間とか勘違いしてんのか?
ゆさゆさと身体を揺すられて意地でも起きたくなくてギュッと目蓋を閉じた。
やがて振動が消えて、やっと安らかに寝れると安心して再び眠りの世界に旅立とうとしていた。
「起きんか馬鹿者が!」
「ぐえっ!!」
腹に衝撃が走り、あまりの痛さに涙目になりながらむせる。
母さん腹を殴るとかいくらなんでも何考えてんだよ…
抗議のためにキッと声をした方向を睨むが、すぐに変だと気付いた。
……あれ?母さん、いつの間に年寄りになった?
まぁそんな事はあり得ないから知らない老人だろう…そもそもお爺ちゃんだし…性別からして違うし…
お客さんを母さんが部屋に入れたのか?…もう、俺にもプライベートがあるんだぞ。
「あのー、どっかの遠い親戚の方ですか?勝手に部屋に入られるのは困るのですが…」
「全く師匠の顔を忘れるとは馬鹿弟子を持ってワシは悲しいぞ」
「痛っ!痛っ!」
ちょっ、手に持った木の杖で人の頭叩かないでよ!
それに師匠とか弟子とかいったい何の話をしてるんだ?
そこでまじまじと師匠と名乗る老人を眺めた。
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