第1章・目が覚めたらMMORPG

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銀の刺繍がキラキラ光る黒いローブに胸まで長い髭は三つ編みにしていて、白髪で厳しげな赤い瞳。 ちょっと猫背なお爺ちゃんを俺は見た事があった。 いや、そんな馬鹿な…コスプレ?それともゲームばかりしていたから幻覚? シャドウナイト内で職業を決める時に同時に付いてきてクエストなんかを出してくれるオスカー師匠が目の前にいた。 …それにしてもクオリティ高いな、この髭とか本物そっくり。 こんな長い髭の奴、海外のびっくり人間でしか見た事ないからつけ髭だと思いグイグイと髭を引っ張った。 「外で熟睡なんてするから脳みそまでカチコチに凍っちまったのかのぅ」 「ぎゃー!!助けて師匠!!」 突然師匠の足元に黒い水溜りが出来て、黒い魔法陣が現れる。 これは同じグリモワールだから分かる、使い魔召喚の魔法陣だ。 グリモワールの使い魔は全て呪われていて主に呪で攻撃をする。 師匠の使い魔は大鎌を持った巨大な骸骨の死神だ、勝てるわけねぇ!! いくら見た目のクオリティが高くてもコスプレでこんな事出来ない。 そんな、まさか漫画の世界じゃあるまいし…じゃあここは本当に…? 「そうか、これは夢か!…いてっ」 コツンと師匠の杖が飛んできて頭に直撃した。 …痛い夢ってあるのか?現実の俺が頭を打ったとか? この場所は王都を出てすぐの草原だった。 初期モンスターが群れているが、ある程度レベルが高ければ襲われないからよく此処で寝落ちするプレイヤーが多い。 俺も確か、ここで寝落ちをしたんだった。
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