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此処で寝たからここからスタートしているのか…しかし、いくらシャドウナイトが好きでもまさか夢に見る日が来るとは思わなかった。
周りを見渡すと、かなりクオリティが高い夢だというのが分かる。
同じ夢を見る可能性は低いし、この際存分に満喫するか!
昨日雨が降っていたのか、地面の窪みに水が溜まっていた。
水を覗き込み映し出されたのはやはり俺のアバターの容姿だった。
黒いローブの上に三角の出っ張りが二個付いている。
これは服装ガチャで当てた男女兼用の猫耳ローブだ。
男が着ても可愛くないが、SSRだったからつい着ている…ちなみに俺に猫耳が生えたわけではない。
そして茶髪に何処でもいるような普通の平凡容姿…あれ?確か俺のアバターの顔カッコ良くしたんだけど、リアルの俺の顔じゃねーか。
…夢だからなのか?ちょっとテンション下がった。
どうせならカッコいいムキムキな俺でいたかった、ゆめなんだからさ。
落ち着け俺、もしかしたらレイチェルちゃんと恋仲になれるかもしれない!夢だし、好きにしていいよね!
ここはシャドウナイトの世界だ、当然レイチェルちゃんがいる筈だ。
高鳴る気分で王都に戻ろうとしたら首根っこ掴まれた。
後ろを振り返って、不満そうに唇を尖らした。
「何ですか師匠、俺…恋に忙しいんですけど」
「何を言っておる、まだ今日のクエストが終わっとらんだろうが!」
「は…?いや、あれ任意じゃん!俺あんまりやってないし…」
「お前を立派なグリモワールに育てると王様に誓ったのに毎回毎回クエストをサボり、酒場に入り浸り…ワシは悲しいぞ」
ぐっ…いつもの日課とはいえ、そう言われたら何にも言えません。
夢の世界なら面倒なクエストを一気に飛ばしてレイチェルちゃんの恋愛イベントまで行かないかな?
王都の少し外れにある森の中まで引きずられていく。
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