2 頭から歌詞カード

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2 頭から歌詞カード

 牧師のアレグザンダー・ジョン・フォーサイトによって火打石銃が改良され、1820年に鉛や真鍮で出来た。筒型雷管が出来た。雷酸酔銀…………誤字を発見した。本当は水銀だ。ワタシはゴースト出版の編集マンだ。ネオ・ジュースの書いた『伝説の銃殺人事件』を読んでいた。とんでもない下手くそだが、100万円受け取っているから、何としてでもデビューさせないといけない。  出島にあるレストラン『BANGSAT』で添削作業をしていた。SATに敵意を持っているわけではない。マレーシア語で悪党を意味する。  バンサッ!バンサッ!バンサッ!バンサッ三唱。  キラッが戻ってきた。  マレーシア人で、キラッは稲妻を意味する。  落ち込んだ顔をしている。 「失敗したのか?」 「イヤイヤ、それといった標的がいなかったんだ。チェリービールもらえるかな?」  キラッは日本語がうまい。 「こんな真っ昼間から飲むのかい?」  白髪頭のマスター、榎本が苦笑する。 「うっせーんだよ!」  鷹山は風頭公園にやって来た。高台にある公園で坂本龍馬の像が立っている。色とりどりのアジサイが咲き誇ろっている。  像の近くに美女の射殺死体があった。  検視の結果、被害者の頭部からは弾丸だけでなく、紙切れが出てきた。  なるほど、使われたのはかなり昔の銃だな?  旧式の先込め式の銃は銃口から弾丸を装填するのだが、火薬や弾丸を固定するために紙切れを使うのだ。主に歌詞カードなんかが使われる。 《降り出した夏の雨が》この部分しか見えない。あとは焦げてしまっている。 「夏の歌ですか?」 『長崎一番 籠町店』でさっきの旅人に出会った。  電停築町から歩いて7分のところにある土産屋だ。古い町屋造りで《鯉蒲鉾》って暖簾がかかっている。伝統料理のハトシはマジで美味い。  アジのすり身を食パンで挟んで揚げてある。  旅人はチーズ味を食べている。180円だ。  鷹山は250円の海老入りハトシを食べた。  アツアツで美味い! 「何の歌だと思う?」 「何で僕に聞くんですか?」 「君、コナン君に感じがどことなく似てるね?」 「よく言われます、夏の歌ですかぁ?サザンオールスターズ?『夏をあきらめて』『真夏の果実』『真夏の夜の夢』」 「それはユーミンじゃないかな?」 「どうでもいいです、他人なんか死のうがなんだろうが関係ない」 「君は藤木くんか?」    
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