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「おばあちゃん!」
私が25歳の秋。
おばあちゃんが、家の階段で転んで入院していると聞き、病院に駆けつけた。
「おやまぁ・・・チビちゃんかね」
病院の真っ白のベッドに横になるおばあちゃんが、こちらを見て驚いていたを
「あらぁ。大きくなったねぇ」
私の心配をよそに、おばあちゃんは、細く、血管の浮き出たしわしわの手で私の頬を触りながら嬉しそうにしていた。
「ばあちゃんも年だから、あんまり外に出られなくて、チビちゃんの姿も見られなかったから嬉しいよ」
そう言った。
実際は、私は18歳の頃から東京で仕事をして、実家の方へは殆ど帰っていなかったから当たり前なのだ。
母は病気で、私が就職したと同時に亡くなってしまった。
私はその日から、休みの時には出来る限り、おばあちゃんの病院へお見舞いに行った。
だが、年老いたおばあちゃんにとって、ベッドでの生活は良くなかったらしい。
怪我の治りが悪く、ベッドにいる時間が長くなったせいもあって、気が付けば認知症になってしまっていた。
「誰だったかね?」
会うたびに、そう言われるようになっていた。
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