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「……どう?」
「どうとは?」
「この依頼、あなたの仕事なんじゃないの?」
「……かもな。でもまだ見てねぇから何も言えねぇな。まずは鴫野さんに灯里ちゃんが生前よく行った場所とか、思い出がある場所。……もしくは亡くなった場所を聞く必要がある」
何故そんな事を聞く必要があるのか?
それは俺のSFが大きく関係している。
実は俺のSFとは幽霊が見える。しかも話せるという力なのだ。
もちろんこんな事を聞いてへぇそうなんだ。と信じるやつなんて霞城か六条先輩くらしいかいない。
現に俺の親は小さい頃から見えない所で話す俺を見て気味悪がり、今でも関係はギクシャクしているし、妹に至っては中二病乙と馬鹿にしてくる。
ただ、これが普通なのだ。
この反応が普通。むしろ霞城や六条先輩の反応の方が異常なのだ。
「何よ。急に回想挟んだりして」
「……え?」
「いや、何でもない。それより、場所のことクレハが聞いてよ」
「ええ!? また俺が話すのかよ」
じゃんけんに持ち込もうとしたが結局霞城に押され、化粧を直し戻ってきた鴫野さんにおそるおそる聞いてみた。
「よく行った場所ねぇ……、あの子海とか川が好きでよく近くの海に連れて行ったわ」
「海ですか?」
「そう海。それと近くの公園でしょ、後はやっぱり学校かなぁ。休みの日もよく学校行ってたから」
「公園と学校ですか……。それとあとすいません鴫野さん。非常に申し訳ないのですが、亡くなった時に行っていた旅行先ってどこですか?」
「……北海道よ。時計塔を見た帰りだったわ。3人で楽しかったって言ってた次の日の朝……灯里は……」
「すいませんすいません! ホントにもうすいません」
「もう大丈夫よ、ありがとう」
今度は気丈に耐えてくれた鴫野さん。
なんとかなったとチラリ時計を見やるともう12時を過ぎていた。
そろそろお暇しようと思ったが、鴫野さんがお昼食べていってと言って頂いたので、そのままご馳走になった。
ちなみに炒飯だった。
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