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駅で待つこと20分、缶コーヒーを片手に現れた霞城を連れて近くにある海へと向かうため電車に乗り込む。
ガラガラの車内は暖房が強く、来てきた上着を脱いでの乗車となった。
地味に二人きりの電車は初めてだったので、なんとも言えない気まずさを感じながらの移動となったが、天気が良く景色も綺麗な窓の外を見ていたらあっという間に時間は過ぎ、気付けば目的地へと着いていた。
「はぁ~、あっつかったわねぇ。あの電車」
「だな、この出た後の寒さも倍になるし」
互いに愚痴りながら降りた先は海が直ぐ側にある駅。
およそ歩いて5分位で見えてくる場所だ。
俺も来るのは3回目なので道を覚えているか不安だったが、霞城が覚えていたおかげで迷うことなく海に着いた。
「いい景色。夏だったら泳ぎたいわね」
「そうだな。今日は寒すぎて誰一人来てねぇしな」
前に広がる海を少し離れた階段の上で見渡す。
霞城も言った通り雲一つない青空に濁りのない綺麗な海はとても綺麗で、いつまでも見ていたくなるような景色だ。
しかし、もうすぐで春だと言うのに冬並みの寒さと、凍えるような冷たい浜風のせいで、人の影が一つもなく波の音だけが響いている。
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