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「……で、どう? いる?」 「パッと見たところ何体かの幽霊は見えるけど、どれも大人だな。……まぁ、此処からじゃ見える範囲もしれてるし、取り敢えず近くまで行ってみないと分からんな」 「そう、なら行きましょうか」 階段を降りてまだ舗装されていない道を歩いて行く。 すると見えてくる砂浜と海。 夏に来れば売店や客でごった返すこの場所も誰もいないとこんなに広かったのかと思いつつ、2人で砂浜を歩いて行く。 「うーん、やっぱいねぇな。大人ばっかだ」 「ええー。ここはハズレって事?」 「そういう事だな」 「こんなクソ寒い中来たってのに……」 自分で来ると言っておいてなんだその口ぶりは。と言いたい所だが言わないでおく。とんだ八つ当たりが飛んで来るからな。 にしてもやっぱり海は幽霊が多い。 よく幽霊は自由に何処にでも行けるから海とか遊園地行き放題じゃん!と勘違いしている人間を見るがそれは全く違う。むしろ幽霊ほど束縛された存在はいない。 何故なら幽霊は生前の思いとか、強い恨みを持つ人間が幽霊になる。故に死んだ瞬間行き着く先は、死んだ場所ではなくその思いが強い場所や人に憑く。 なので海や遊園地、子供だったら学校などの思い出や強い感情が残る場所に幽霊は多い。 「しょうがない。今度は川の方へ行ってみるか。幸い川はこっから近いし歩いていけるだろ」 「えー面倒くさ」 「お前が私も行くって言ったんだろ!」 「ジョークよ、ジョーク、そんなに怒らなくたっていいじゃない」 まぁ、コイツのこの感じは今に始まった訳ではない。相変わらずの自己中っぷりには腹立つが、ここで喧嘩しても仕方がない。 早々に浜風から逃げるようにその場から去り、携帯の地図を頼りに川まで歩いて行く事にした。 すると思ったより近かったみたいで10分もしないうちに川は見えて来た。
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