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「はぁ? 藍? 誰それ」 「藍は私の友達なんだけど、最近なんか憑かれたらしいんだ」 「憑かれたぁ? はっ、気のせいだろ。そんなもん」 俺の今までの経験上こういう事を言い出すやつに限ってそんなものは憑いていない。 「それがマジっぽいんだって! 急に感情がブレるし、ヒドイ時なんて性格まで変ったみたいになるんだよ! ……お願い見てあげて、お兄ちゃん!!」 「気持ち悪っ!」 「酷くない!? ……まぁいいや、取り敢えず見るだけ見てくれよ兄貴」 深く頭を下げる燈火だが、正直言って面倒くさい。 それも超がつくほど。 しかし、ここまで燈火がお願いしてくるのは珍しい。それに感情が急に変わるのは憑かれている人間に多い現象だ。もしかしたら友達の藍ちゃんは本当に憑かれているのかもしれない。 まぁ、別に見るだけだったら良いんだが……。 「……でもお前、昔俺に中二病乙とか言って馬鹿にしたよな?」 「え? 今それをぶり返すの!?」 「当たり前だろ! 俺はあの発言に深く傷ついたんだ! なんだよ中二病って……同級生にも言われたことなんてないのに……まさか妹に言われるなんて……」 「ごめんって! ……でもアレは兄貴が私のことを巨人とか言ったからだろ! あの発言で私は深く傷ついたんだ!」 「……え? そうだっけ?」 「もしかして忘れてたの!? ……最悪、兄貴謝って」 「う、うるせぇ! お前がまず謝れ!」 そんな醜い兄弟喧嘩を30分続けた後、ようやくお互いが一旦謝ることで収まりをみせ、友達の藍ちゃんはまた後日見る事となった。 めでためでたし。
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