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私立末広学園。
日本でも有数の超が付く程のマンモス高校である。
生徒の数も然ることながら校舎の数、そして大きさもマンモス級であり、故に部活や同好会が乱立。生徒であってもその数を把握しておらず、もしかすると先生でさえも把握していないとまで言われている。
そんな数の中に我らが『SFサークル』は存在する。
このSFとはS(少し)F(不思議な力)という略であり、詰まる所少し不思議な力を持った人間が参加している同好会である。
と言ってもその人数はわずか3人。
俺こと呉羽優と、この同好会を立ち上げた張本人であり、部長でもある霞城雫。そして今年最高学年に上がる俺らより一つ上の六条神住先輩の3人である。
立ち上げたのが入学して1ヶ月もまだ経っていないGWの前日だったので、この学校の部活・同好会の中ではド新参である。
しかし、なんやかんや春、夏、秋と何事もなく過ごすことができ、更には先輩の加入もあり、いよいよ来年から頑張るぞ!といった感じで高校生活初めての卒業式を終え、今日から待ちに待った春休みである。
「くれはー、これどう?」
場所は俺たちSFサークルの部室。
お日様が気持ちよさそうに降り注ぐ場所に自腹で買ったソファを置き、そこに寝転びながら眠そうな声で1枚の紙を手渡してくる霞城。
渡された紙はこの同好会の勧誘用のビラだろうか?
しかし、ごちゃごちゃと上から下まで書いてあるので、素直に見にくい。
「ちょっと見づらくないか? もうちょっとシンプルな方が見やすいと思うぞ」
「ああーやっぱり? なーんか書きたいことがいっぱいあったからさ、取り敢えず書きなぐってみたけど、やっぱ見づらいかぁ」
なんて面倒くさそうに、今にでも寝てしまいそうな声色だ。
だったら家で寝とけや、と言いたいがそれはお互い様なので言えない。
と言うのも今日は春休み初日で、殆どの部活も同好会も活動していない。俺達の先輩、六条先輩も今日から家族で旅行に行くらしく、春休み中は帰ってこない。
お陰でいつもはうるさいこの部室棟がとても静かだ。
そんな中俺たちは、朝からこの部室にまで足を運んでいる。
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