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意を決し校門に足を掛け柵を登る。 小学校な事もあり、高校と違い柵も低い。 校庭に入ると出来るだけ体を沈めて素早く動く。校門から見ていたおかげで大体どの幽霊が男性か女性かの区別はついている。 それを頼りにまずは一番近くにいるヒラヒラしている服を着ている幽霊に近づく。 「お嬢さん」 「………」 違う。 よく見るとランドセルがだいぶ古い代物だ。 これは相当前からいる古株の幽霊だ。 「次はあの子か……」 と、その後も顔を見て回るが、どれも灯里ちゃんではない。 どうやらここもハズレだったらしい。 そうと分かればここにいる意味はない。 すぐにでも退散だ。と校門に足を向ける。 「……なっ、なんだ」 その瞬間、急に体が重くなる。 見ると後ろに一体の小学生幽霊が俺の側まで近寄っていた。 「……ドコイクノ」 「え? あ、お家に帰ろうかなーって」 「ダメ、ワタシトイテ」 「いやでも、お兄ちゃんもお家に帰らないと怒られるから」 ふと校門を見ると霞城が手を大きく振り、早くしろと合図を送っている。 誰かこの学校に来ているらしい。 一刻も早く退散しなくてはならなない。 「君の名前はなんて言うの?」 「ユリカ……」 「ユリカちゃん、絶対にまた来るから今は帰ってもいいかな? 絶対に来るから」 「……ゼッタイ?」 「うん、絶対」 「……ワカッタ、ゼッタイキテネ」 「ありがとう」 そう言うと体の重さは消えてユリカちゃんの姿も消えていた。
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