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ユリカちゃんとの約束を結ぶ学校を何とか抜け出した俺が次に向かった先は公園。またしてもポツポツ降り出す雨に用意してた傘が功を奏し、間抜けにも持ってこなかった霞城を入れてやりながら向かう。 「もうちょっと寄ってよ」 「これが限界なんだよ、俺が濡れるだろ」 「普通そこは女性を濡れさせないために、ちょっと肩を濡らすんじゃないの? それが男って奴じゃないの? 今私、濡れてるんですけど」 「ちっ……」 忘れたクセに文句だけはいっちょ前の霞城に、教えて頂いた男と言う奴を見せ付けるため肩を雨に濡らす。 「ほらよ、これでいいだろ」 「やればでき、……あ、どっちにしろ濡れるわね」 「てんめぇ……」 ごめん、と舌を出して謝る霞城。 腹立つ仕草だが、悔しいが可愛い。思わず許してしまいそうになったので公園に着くまでは顔を逸しながら歩くことにした。 傍から見れば相合傘を興じつつ歩くこと30分。 住宅街も抜け、商店街が見えてくる直ぐ側に、鴫野さんの行っていた灯里ちゃんがよく行っていた公園が見えてくる。 「……ここか」 「ええ、ここが生前よく行った公園。粟隅(あわすみ)公園よ」 パッと見、まさに何処にでもある公園。ブランコに滑り台、砂遊び場に半分埋まった謎にカラフルなタイヤ。 雨が降っているので()()は誰もいなかったが、お目当ての幽霊は遂に姿を現した。 「あれ……たぶん灯里ちゃんだな」 「え? ホント?」 「ああ、鴫野さんが見たっていう夢の通りしゃがんで何か探してる」 まだ顔までは見てないがおそらくそうだろう。 服は赤いワンピース、頭には黄色いキャップを被っている。 近づくため傘を霞城に渡し、砂場の横に生えている草むらでしゃがんでいる少女へと近づく。 「探しものか?」 そう声をかけるとクルッとこっちを見る。 間違いない灯里ちゃんだ。写真で見た通り母親の目元とそっくりだ。
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