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翌日、２９日。
今日は朝から晴天だが、灯里ちゃんの事で昨日の晩はあまり眠ることが出来ず、気分的には曇天模様だ。
しかし、そんな事は言っていられない。
なんとしても今日で決着を付けたい所。鴫野さんの事もそうだが、やはりあんな場所に１人でいる灯里ちゃんを早いところ救ってあげたい。
「とうかー、じゃあ、行ってくるから鍵だけ締めとけよー」
「はーい、いってらー」
約束取り昼前に、と言いたい所だったが午前中は鴫野さんに用事があるみたいで訪問は３時となった。
日が沈むと灯里ちゃんは消えてしまうので早くしたかったが仕方がない。
少し早めに家を出て、電車に揺られる。その間も灯里ちゃんは何をしていたのかを考えるが、一向に答えは出てこない。
鴫野さん宅に着くと少し早めに着いたと言うのに霞城は既に俺を待っていた。
「遅い」
「……お前が早すぎんだよ」
一体コイツは何者なんだろうか？
もしかすると幽霊よりも謎な存在かもしれない。
「で、もうインターホンは押したのか？」
「いや、一応クレハを待ってたわよ」
変な所で律儀だなと感じながらインターホンを押す。
「あ、はーい。開いてますよ」
そう言い玄関を開けてお出迎えしてくれる鴫野さんの目には前来たよりも濃いくまが出来ていた。
「どうぞ」
「失礼します」
同じようにリビングに通され、お茶をいただく。
「寝てないんですか？」
「ええ、やっぱり怖くて……」
まぁ、そうだわな。
同じ時期、同じ夢を毎日見てたらそれは怖いと感じるのも当たり前だ。
「で、今日は何か用が……」
「あ、はい。あの……灯里ちゃんが大事にしていた物とかってありましたか？ もしくは公園で何か落とした物とか……」
「大事な物？ ……あの子、結構飽きっぽくて、欲しい物買ってあげてもすぐどっかに失くしてたから、何か一つ大事な物とかはなかった様な……」
飽きっぽいのか灯里ちゃん。
となると、やっぱ公園で落としたものを探していたのか？
「あ、そうだ。灯里の部屋に行けば何か分かるかも」
「え？ 部屋残ってるんですか？」
「ええ、そうなのよ。未練がましいとはわかってるんだけど、中々片付けられなくて……」
「それは……仕方ないですよ」
でもこれは運が良い。
何かまだヒントが残っているかもしれない。
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