1人が本棚に入れています
本棚に追加
外は思った通り、いやそれ以上の冷え込みを見せ、着込んできた服装は全くの意味をなさず、やっぱり来るんじゃなかったと後悔していたが、昨日と同じようにビラを配っていると自然に体も温まっていき、配り終える頃には汗も滲ませるほどだった。
「はー、疲れた」
「ほれ、お疲れさん」
「あら? 気が利くじゃない」
公園で疲れを癒やす霞城に缶コーヒーを渡す。
それを霞城は一飲で飲み干す。
よほど疲れていたらしい。
「この後はどうすんだ? まだ昼過ぎだけど」
「そうね。……ま、解散でいいか。別に戻りたかったら戻ってもいいけど」
「いや、今日は俺も疲れた。家帰ってゆっくり寝るわ」
「そ、なら私もこのまま帰るわ。今日は自転車で来たし」
そう言うと、公園の入口に停めてある彼女お気に入りのクロスバイクまで歩いて行く。
その途中、手に持った空き缶を綺麗なフォームでゴミ箱にシュートする。
「お、ナイス私。……ほんじゃあね」
「おう」
これまた綺麗なフォームでクロスバイクに跨り颯爽と消えていく。
その姿を眺め、俺も駅の方へと歩く。
相変わらず様になる霞城であった。
最初のコメントを投稿しよう!