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翌日27日の月曜日。
今日も朝から真冬の冷え込みを見せ付ける天気に、もうビラ配りをしたくない俺は昼まで家で寝ようと引きこもっていると、それを邪魔するように奴から電話が掛かって来た。
「……はい」
「あ、クレハ? 遂に来たわよ!」
「何が?」
「何がって依頼よ、依頼!」
「……依頼?」
「そう、今から依頼主に会いに行くからすぐに来なさい!!」
そう叫ぶと一方的に切られる。
「なんで……今日に限って……」
時計を見ると針は10時を指している。
家からは電車使っていくので最低30分はかかる。
その事を霞城は知っているのだろうか?電話をしようにも絶対文句を言ってくるので、メールで45分までには着くと送り、後は携帯の電源を落としてポッケに入れる
両親は月曜日なので仕事でいないのと妹は何処かに遊びに行ったのか、自転車が消えていたので玄関の鍵を締め家を出る。
電車を降りて走って学校に向かうと、着いたのは10時40分。
行くと既に霞城は校舎の前で待ち構えていた。
「遅い!」
「しょうがないだろ、俺は電車なんだから」
言われると思っていた事を早速言われ、この後もグチグチと言われるのかと思っていたが、依頼が来たのが嬉しかったらしく珍しくすぐに機嫌が治り、そのまま依頼の内容を説明する。
「依頼主は鴫野春さん。専業主婦で昨日配ったビラが自転車の中に入ってたから電話したんだってさ」
「へー、ホントに電話してくる人もいるんだな。で、どんな依頼なんだ?」
「うん。それが夢を見るらしいの」
「夢? 夢って寝てから見る方か?」
「当たり前でしょ、何で将来の夢を私に依頼してくるのよ」
それもそうだ。
「それでその夢って言うのが、娘さんの夢らしいの」
「娘さんの夢? だったら別にいいだろ。羨ましい程幸せな家庭じゃねぇか」
「でもその娘さん、3年前に亡くなっているんだって」
「……なるほど」
そのパターンか……。
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