人間の真実

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新入社員の頃の上司の柏木は、面倒見のいいタイプで、父親のような存在でした。それは、私の実父がそうではなかったからだと思います。 しかし、ある日、他の部署の中村綾香が、パワハラを受けていたので、その子と入れ替えるように私は転勤になりました。 その際、送別会も開いてもらえず、記念品もありませんでした。 新入社員で配属されたのもあり、送別会は開いて欲しかった。最後に柏木と話をしたかったので、今でも心残りです。 綾香は、満面の笑みを浮かべてました。しかも、仕事では大抜擢されました。柏木が抜擢したのです。 新しい配属先で、私はパワハラにあいました。柏木もパワハラが起こるかもしれないことは分かっていたと思います。 その後、何度か柏木に飲みに誘われましたが、飲みに行く気にはなれませんでした。私の配属している部署に足を運んだりしていたので、気にはかけてくれていたと思います。 そもそも転勤するとき、柏木が、綾香と入れ替えることを説明してくれれば、こんなに何年も渡って傷つくことはなかったと思います。 綾香も、満面の笑みではなく私に少し配慮があるべきだと思うのですが。 5年後、綾香は結婚して、遠くに転勤していきました。 私も結婚しました。たまたま柏木に会ったので(仕事上です)、結婚の報告をしました。後日、当時の直属の上司から、柏木が私が結婚したのを嬉しそうに話していたことを聞きました。 その後、私は退職して専業主婦になりました。仕事の何もかも嫌になって辞めたので、退職の挨拶もできませんでした。 柏木は自分の出世のために私を転勤させたのかもしれません。でも人間不信になるくらい悲しい思い出になりました。 夫はとてもいい人で、何不自由ない生活をしています。どうしたら、気持ちを切り替えて生活できるのでしょうか。
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