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幼稚園から大学まで、私は堅苦しい学校に順応して生きてきた。就職した都銀も、それの延長だ。入社年度が社内の会話に頻繁に出てくるし、社則と暗黙のルールは、校則やクラスメイトのプレッシャーより厳しい。
厳しい規定と慣例に縛られながらの生存競争に喰らいつく私と、彼は対称的だ。
音楽家、アーティスト、自由業。そういう種類の人と近しくなることなど思いもよらなかったし、気が合うとも思っていなかった。
でも、確かに憧れていた。彼と出会って、そう知らしめられた。
奔放に生きてきたと過去を笑い飛ばす彼の本質は、堅牢で誠実な精神をギターに捧げた正直者だ。
自由気ままに見せながら、確固たる意志を貫き、自分の音を追求する彼は、周囲に従順を示しながらも己を飼い慣らせない私より、よほど私の飼い主に相応しいだろう。
指先一つでいかようにも歌い上げるギタリストは、その音の届く範囲に私を招いてくれた。
日溜まりがそこにあった。
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