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――そう、猫ちゃん。私のお友達。毎晩、会いに来てくれたのよ。でも、先週からふっつり。
もう飽きられちゃったのかしら。元気でいてくれるならいいんだけど。
うん、元気なはずよ。まだ小さい子だったから、誰かに拾われちゃったのかもしれないわ。私のことなんか忘れて、今頃、贅沢なご飯を食べて、温かいお家でゴロゴロしてるのね。
――私も、そんな猫になりたい。
「なってみろよ」
私は、急にそこで目を開けた。
もちろん、その前から目は開いてたと思うんだけど、ちゃんと見えていなかったのね。
どういうシステムなんだか、急にお酒が醒めていく。
「フラフラは――向いてなさそうだな、お互いに。家猫になればいい。家ん中で一番あったかい場所探して、寝転がってりゃいいさ」
「――でも、私。仕事もしたいの」
「すればいいさ、猫に散歩はつきものだ」
目の前の男は、軽い調子でそう言った。
それもそうね。
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