猫になりたい

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「家猫なんだから、お前が来い」 「家が分からなかったら?」 「鳴けばいい」 「聞こえるかしら」 「聞こえる」 ニャア、とどこかで小さく猫が鳴いた。 飲食店なのに、猫がいるの? 私は、キョロキョロ辺りを見渡す。もう何度も来ているのに、猫ちゃんに会ったことはなかったわ。勝手に入ってきちゃったのなら、怒られないうちに出してあげなきゃ。 ねえ、何がおかしいの? 男は、携帯電話を見せた。ニャア、とまた猫が鳴く。 「着信音だよ」 お前もこうやって鳴けばいい。 そうして、私は彼の猫になった。まだ、家にはいついていない。
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