29人が本棚に入れています
本棚に追加
「家猫なんだから、お前が来い」
「家が分からなかったら?」
「鳴けばいい」
「聞こえるかしら」
「聞こえる」
ニャア、とどこかで小さく猫が鳴いた。
飲食店なのに、猫がいるの?
私は、キョロキョロ辺りを見渡す。もう何度も来ているのに、猫ちゃんに会ったことはなかったわ。勝手に入ってきちゃったのなら、怒られないうちに出してあげなきゃ。
ねえ、何がおかしいの?
男は、携帯電話を見せた。ニャア、とまた猫が鳴く。
「着信音だよ」
お前もこうやって鳴けばいい。
そうして、私は彼の猫になった。まだ、家にはいついていない。
最初のコメントを投稿しよう!