0人が本棚に入れています
本棚に追加
吸血鬼だとバレてしまった時はどうするかって?
そうだね、君は他人が吸血鬼を見付けたと言って、すぐに信じるかい?
それと同じ事だよ。言えば言う程、奇妙な人間に思えるだろう。
だから、そういう風に人に言う人間は、少ないのだよ。意外かい?
自分で自分を窮地に追い込む人間なんて、なかなか居ないのさ。
それに、もしバレたとしても、また新しい土地へ行けば良いだけだからね。
犯罪者という訳じゃないから、追われる事も無いのだよ。
そのうちにその人間も、吸血鬼である僕等の事を忘れる。
記憶というものは、曖昧になってしまうからね。
その曖昧さに僕等は助けられているよ。
*
しかし、君は私と居て怖く無いのかい? 仮にも私は吸血鬼なのだよ?
自分の血を吸われる心配も無いし、話も面白いし、性格も気に入っているって?
はは、まいったなあ。そこまで褒めて貰えるとは、思ってもいなかったよ。
君が種族を気にする人間じゃなくて良かった、と心底思えるよ。
こうして会話を交わせる友が居るのは、悪く無い。
君は僕が吸血鬼だと、周りに言いふらさないと僕は確信しているよ。
そういう事も考慮して、君に打ち明けたのさ。
友にいつまでも隠し事をしているのが、後ろめたく感じられてね。
いつか、真実を話そうと思っていたのだよ。
君が友達で、本当に良かった。
最初のコメントを投稿しよう!