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「密会」
妙に明るい夜
視線に揺り起こされる
「またあんたか」
驚く事はなくなったが
慣れることもない
私たちは
何をするわけでもなく
ただぽつりぽつり
身の上話をする
夜明け前の僅かな静寂
時折短い相づちを打ち
淡々と
沈黙を織り混ぜながら
長い長い身の上話をしてきた
「神様のちょっとした計らいでね」
哀しげな笑みを向けたウサギは
冷たい月を見上げ
軽く
跳ねた
「続きはまた今度の
満月にな」
「ああ
またな」
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