目標

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『先ずはフォームを固めろ。銃だって大砲だって、土台がしっかりしてなきゃ狙った所に飛ばん。』  お兄さんにそう言われ、お兄さんに借りたキューで、家でひたすら素振りをさせられている。  玉を2つ並べて、その隙間にキューを通す。  …あの後、僕の懇願に、お兄さんはビックリして怒鳴りだした。  まぁ、いきなり土下座での懇願をした僕が悪いのだろうが… 『喧しい!そんな大声出さんでも聞こえるわ!』と…  教わる条件として、成績を下げない事を約束させられた。 『せっかく良い高校入ったのに、ビリヤードとか馬鹿だろお前?ビリヤードのプロになろうなんて思う奴に、京子はやらんからな。』  仮にもビリヤードのプロが言う事では無いと思うが…  話しによると、ビリヤードのプロは収入が安定しない為、トーナメントの賞金だけで生活出来る人なんて、日本中でもほとんどいないらしい。  お兄さんも、店で給料を貰いながら活動しているようだ。  ただ、僕がプロになれるなんて、これっぽっちも思っていない。  僕はただただ…王様のようなお兄さんに憧れてしまっただけだ。  あんな風に撞けたら…と…
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