目標

6/6
前へ
/15ページ
次へ
『…成績が戻ったら、また来て良いですか?』 『…馬鹿が。泣くほど悔しいなら、どっちか絞るんじゃなく、どっちも両立させてみせろ。プロの中には、銀行員とか弁護士だっているんだぞ。だからお前は中途半端だって言ってんだ。』  お兄さんにそう言われ思い出す。  プロの多くは、お兄さんのようにトーナメント活動をしながら、他の仕事を持っている。  ビリヤードに夢中になり過ぎていて、視野が狭くなっていたようだ。  今、お兄さんは僕に檄を飛ばしてくれているのだ。 【男なら、欲しい物は全て手に入れて見せろ】と… 『…解りました。3ヶ月で戻ります。』  僕は言って涙を拭った。  そうして僕は今、勉強に集中している。  また、あの大好きな店に戻る為に… 『お兄ちゃんも待ってるよ♪馬鹿だから素直に言えないだけで♪』  そう言う京子ちゃんからの言葉だけで、充分やる気にさせてくれる。  すぐ戻る。きっと。必ず。  お兄さんが言うように、欲しい未来は、全てこの手に掴んでみせる。  それには努力あるのみだ。  ビリヤードも勉強も…そして恋も… ‐完‐
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加