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『良いのよ。あんな馬鹿ほっといて。』
…あんな馬鹿とか…お兄さんの事になると当たりがキツイが…
とは言え…呼び捨てにする程の度胸は僕には無い。
あのお兄さんの前で、うっかり口に出そうものなら、殺されるかも知れないし…
『…じゃあ…京子ちゃん。』
僕がそう下の名前をちゃん付けで呼ぶと、平野さんはパアッと笑顔を見せてくれる。
『えへへ♪じゃあ私も隼人君て呼ぶね♪』
同級生の女子から、下の名前で呼ばれた経験など無いので、ドキッとしてしまう。
が…そんな場合ではない。
僕が聞きたいのは、お兄さんの事だ。
『お兄ちゃん?いると思うけど…今日は止めた方が良いと思うよ。昨日試合で負けて、機嫌悪いから。』
『そうなの?あのお兄さんでも負けるんだ?』
信じられないくらい上手いのに…
僕は素直にそう思った。
もっとも、それがプロの世界なのかも知れないが…
『うん。馬鹿なのよ。調子に乗って、せっかくのブレイク権放棄したって話しだし。新人のクセに何を勘違いしてるんだか…』
京子ちゃんは、呆れた顔でそう話す。
『でも、いるなら見学だけでも出来ないかな?』
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