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前回行った時も、お兄さんは栗原さんには優しかった。
『うん!良かった!お兄さん格好良いよね!あんな風に撞けたら楽しいだろうねぇ!』
『ええ~…隼人君もちーちゃんも、ちょっとおかしいよ。お兄ちゃん馬鹿だし、変態だし、ビリヤードしか取り柄ないのに…』
京子ちゃんはそう答えるが…それでも、お兄さんを褒められて満更では無さそうだ。
少し照れているような表情がまた可愛い。
そうして、放課後4人でお兄さんの働くビリヤード場を訪れた。
まだ夕方と言う事もあり、お客さんも少なく、お兄さんはカウンターの目の前の台で、1人で黙々と練習していた。
何時間撞いているのか…あんなに上手いのに、額に大粒の汗が浮き出る程、険しい顔で真剣に練習している。
ちょっと声すら掛け辛い雰囲気だ。
それでも、京子ちゃんは妹だからか…店に入るなり、お兄さんに平気で声を掛けた。
『お兄ちゃん。お客さん連れて来たよ。』
そう言う京子ちゃんの呼び掛けに、ジロリとこちらを睨む。
機嫌が悪いと言うのは本当らしい。
『…ガキが、こんな所来んなっつってんだろ。帰れ。』
言って、再び練習を始めてしまう。
その様子に呆れたように両手を広げる京子ちゃん。
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