テーブル上の王様‐高校編‐

弟子入り

『うん。中学の時からね。何処が良いのか…あんな変態。』
　栗原さんに聞こえないように小声での僕の質問に、京子ちゃんはやはり呆れた表情で答える。

『ま、昔から、私以外の女の人には優しいから。散々暴れ回ってた頃も、決して女の人には手は上げなかったし。』

『…お兄さんて、不良だったの？』

『不良じゃないよ。真面目では無かったけど…うちはお父さんが酷かったから…私やお母さんが、お父さんの事で馬鹿にされてたり、お母さんがお父さんに暴力振るわれてたりすると、いつもお兄ちゃんが助けてくれて…そのせいで、お兄ちゃんも酷い怪我したり…何処行っても、喧嘩ばっかりするようになっちゃって問題児扱いされたけど…』
　話しによると京子ちゃんの両親は、お兄さんが7歳・京子ちゃんが4歳の時に離婚したらしい。
　原因はお父さんの暴力だったようだ。

　お父さんもビリヤードのプロだったらしいが、試合で勝てなくなり、お酒に溺れ、暴力を振るうようになったらしい。

『まだ、私は小さかったから大丈夫だったけど、お兄ちゃんは私やお母さんの分まで、酷い目に遇ってたし…』
　昔を思い出しているのか…京子ちゃんは暗い口調で話す。