弟子入り

8/9
前へ
/15ページ
次へ
 僕があんな風に輝ける訳が無い…そう思って、うつ向いてしまう。  しかし、そんな僕の様子を見かねたのか、京子ちゃんが声を上げた。 『お兄ちゃん!隼人君に教えてあげて!』 『え!?いや!京子ちゃん!?』  お兄さんは、京子ちゃんの呼び掛けに反応し、再びジロリと僕を睨んで来た。 『あ…いや…その…』  そういう僕に、お兄さんから声が掛かる。 『…嫌だ。』  と… 『あ…はは。ですよね…』 『お兄ちゃん!』  京子ちゃんは怒ったようにお兄さんに向かって叫ぶが… 『ふん。俺は自分の練習で忙しいんだよ。高瀬の奴にリベンジしなきゃならないんだからな。それに俺は、ナヨナヨした奴は嫌いだ。やりたいなら…教わりたいなら、自分で言って来い。見込みがあるようなら、最低限の事は教えてやるよ。』  お兄さんはそう言うと、再び練習を再開してしまう。 『ほら♪典孝君はちょっと怖い所もあるけど、悪い人じゃ無いよ♪自分で言ってみたら?』  そう、再び千尋さんに促される。  見ると、京子ちゃんも僕を見てニッコリ微笑んでいる。 『う…でも…迷惑じゃ…』 『あれでも、一応プロだよ♪後進の指導くらい、義務だと思ってるから大丈夫♪』
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加