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01 ファーストキス
貴方は、ファーストキスの事を覚えていますか?
ある統計では、ファーストキスの平均年齢は17歳だそうです。
今回の話の主人公、遥くんもそのひとりです。
でも、彼のファーストキスは他の人と少し違った形で経験しました。
彼のキスは甘く切なくちょっぴり残酷でした。
彼は、生れつきレックリングハウゼン病という病気を持っていました。
そして、そのうえ病弱で友だちと言える人がいませんでした。
レックリングハウゼン病というモノを知らない人も多いかと思います。
そんな貴方へレックリングハウゼン病の説明をさせていただきます。
レックリングハウゼン病とは、神経線維腫症Ⅰ型の難病指定の病気です。
見た目としましては、皮膚を中心にカフェオレ斑と言ってシミのようなものが出来ます。
約3000人にひとりの割合で発症する病気で患者のウチ約50%の人は両親のどちらかが持っていた病気を遺伝してしまったケースです。
遥くんもその中のひとりです。
残念ながら現在の医学では、根本的な治療法はありません。
見た目の病気とこの病気の認知の低さから、教師からは「不潔にしているからそうなった」とクラスメイトの前で言われ、その日から遥くんは【不潔】と言われ……
いつのまにか、この病気が感染すると言われるようになり近づくだけで「ばい菌がうつる!近づくな!」と言われるようになりました。
この病気は、感染することはありませんし清潔にしていても発症するときは、誰でも発症する可能性があります。
彼が触れるもの全てに感染する可能性があるとも言われ……
モノに触ることすら許されませんでした。
そんな彼は、女の子とキスどころか手すら握ったことすらありませんでした。
「ばい菌がうつる」根も葉もない噂が、広まりまともに話したこともありません。
遥くんが言われ続けた言葉は、彼の心に根深く入り込み……
それらの言葉が、彼を傷つけました。
さて、そろそろ彼の中に入り彼の失恋話をしようじゃありませんか……
甘く切なくちょっぴり残酷なお話を……
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