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ゴミステーションの袋の一つを開けると、魚の身が袋の中にあった。そしてその魚は、恐らくフグだろう。そのフグの身を食べない利用方法、それは毒だ。
フグ毒として有名なテトロドトキシンは、もっとも有名な毒である。かなり毒性が強いもので、人の命を一瞬にして奪うことができる。
私はその内臓がなくなったフグを見て、一つの可能性が頭をよぎった。
そう。おじいさんはフグ毒を用いておばあさんを……
丁度その時、私の背後に影が差した。
驚いて振り返ると、そこにはおじいさんが立っていた。
「おやお嬢さん。どうかしましたか」
おじいさんは相変わらずの笑顔で私に話しかけた。
「あの、これ……」
「ええ、フグですが」
「どうして身が残っているのに捨てているんですか」
その問いにおじいさんは笑顔で首を傾けるだけであった。
突然私は何かのにおいを感じた。
目が覚めると、そこはおじいさんの書店だった。
「お嬢さん、お目覚めかい」
おじいさんが部屋に入ってきて、私に声をかけた。その笑顔は以前のものとは違うように見える。それは私が恐怖を感じているからなのだろうか。
「あのまま探らないでいてくれれば、私もこんなことしなくて済んだのですがね」
おじいさんは手に何かカプセルを持って近づいてくる。
やめて。お願い。来ないで。
その私の願いは声にならず――
私は全てを失った。
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