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「いつ下調べなんかしてたの?」
よほど驚いたのか、イヴンは口をあんぐりと開ける。
「おまえがあっちに婿入りすると決まってから何度かな」
「確かにイェンならヴルカーンベルク国に一瞬で行けるけど……だけど、それにしたって、そんな気配全然なかったじゃないか」
毎日飲み歩いてたと思ってたし……と、イヴンはぼそっとつけ加える。
「ちっとも気づかなかったよ」
「遊んでいるようで、いや、実際遊んでるけど、それでも、やることはきっちりやる性質なんだ。まあ、あっちのことはいろいろわかったし、おかげでヴルカーンベルク語も完璧に覚えた。読み書きも問題なしだ」
「ええっ!」
「生活するには困ることはねえな。ただ、寒いのが難点だが」
「……」
しれっと、これから向かう先の国の言葉は覚えたと言うイェンに対し、イヴンはいまだ参考書片手にヴルカーンベルク語に苦戦中だ。
イヴンは肩を落としため息をつく。
物覚えは悪くないほうだと思ってはいるが、やっぱりイェンにはかなわない。
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