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翌日の朝、場所は昨夜と同じ食堂。
あれから目が覚めてしまって、結局眠ることができなかったイヴンと、部屋で一人飲み直したのか、二日酔いで顔を青ざめさせているイェン。
よほど気分が悪いのか、不機嫌そうにひたすら水を飲んでいる。
しかし、不機嫌なのはどうやら二日酔いのせいだけではないらしい。
イェンは視線だけを動かし、リプリーとエーファを一瞥する。
他にも席が空いているというのに、向かいの席にちゃっかりと座って二人は朝食をとっていた。
「そういえば、自己紹介がまだだったわね。私はリプリー」
肩に落ちる栗色の巻き毛に、栗色の大きな瞳。年齢は十六、七か、小柄で華奢な身体、思わず守ってあげたくなる可憐な少女だ。だが、会話をしてみるとすぐに気づくであろう。溌剌とした声の響きも仕草も、少々勝ち気そう印象があることに。
「そしてこっちが」
「エーファだ」
イヴンに向かって微笑むエーファは、昨夜イェンに接した時とは違い、優しく頼れるお姉さんという雰囲気だ。
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