終章

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 あの出来事から三ヶ月。  これ以上つき合っていられるか! のイェンの一言で、いまだ何かと騒がしいワルサラ国から離れ、たどり着いたのは半年前の旅立ちの時、ワルサラ国を見下ろした〝夕日が見える丘〟だった。  ここからイェンの瞬間移動で一気にヴルカーンベルクへと移動だ。  徐々に傾きかけ、沈んでいく夕日が空を雲を、そして小さなワルサラの街を赤く染めていく。  あの日も今日と同じ夕暮れ時だったことをイヴンは思い出す。  国を離れる寂しさと、見知らぬ土地へと向かう不安に胸を揺らした。  でも今は違う。  どんな待遇で迎えられるかはわからないが、いろいろな事を学び、少しでもヴルカーンベルクのことを理解するよう努力するつもりだ。  立ち止まっている暇などない。  ひたすら、前へと進もう。  イヴンは〝灯〟の時計台に視線を移す。
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