終章

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 時刻はいまだ、十一時五十九分のままだった。  きっと、いろいろなことが片づき、落ち着きを取り戻したら、新たな時を刻み始めるだろう。 「今回はほんとに大変じゃったの」  声をかけられ振り返り、さらに視線を落としたそこに、大魔道士パンプーヤがちんまりと立っていた。  相変わらずぼろ切れをまとった姿だ。 「じじいは何もしてないだろ!」  そう言ったイェンは露骨に顔をゆがめた。  何故なら、パンプーヤの右手には杖、左手には剣。 「何じゃその態度は。杖がなくては不便じゃろうと思って、こうして新しいのを用意してやったというのに」  剣はいたって普通の剣だったが、いかんせん杖の方は以前よりも悪趣味度が増した。 「今度のは白金製じゃ。柄の部分には滑り止め。さらに耐久性抜群じゃぞい」  杖の形も装飾も、もはや口にするのもためらわれる品のなさであった。
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