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「で、話は戻りますが。兄きはツェツイーリアちゃんが大人の女性になるまで待つんですよね? つまりそれは、他の女性とのおつき合いは、今後いっさいなしってことですよね? さんざん遊びまくってきたけど、そういうの、きっぱりやめるんですよね?」
イェンは片頬をひくつかせ、側にいたイヴンはリプリーと顔を見合わせ、肩を震わせながら笑っている。
「そんなことあたりまえであろう。恋人がいながら他の女性に手をだすなど言語道断。あんな無垢で可愛らしい恋人を泣かせるなど許されないこと!」
エーファはしたり顔でうなずき、ついっとイェンに顔を寄せる。
「こんなゲス男の何がいいのか私にはさっぱりわからんが、どうやら貴様には女たちをひきつける何かがあるらしい」
イェンが怪我で療養中、たえず押しかけてきた大勢の女性の見舞客を退けるのに苦労したエーファであった。
時には夜中にこっそり窓から侵入しようとする者もいたから、油断も隙もあったものではない。
が、今になって思えば、何故私がそんなことをしなければいけなかったのだ? と思わないでもないが、ツェツイーリアちゃんがこの男の側にいて嬉しそうに笑っていたのだから、まあよしとしよう。
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