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涙をこらえうつむくイヴンの足下に、風にのって一枚の紙切れが飛んできた。
それはリプリーが本に挟んでいたしおりだった。
とても大切なものだと言っていた。
好きな人からの贈り物だと。
待って、と呼び止めようとしたイヴンの声が途中で飲み込まれる。
何気なく裏返したしおりに一瞬、心臓が跳ね上がる。
しおりの中心に押された薄紅色の小さな花。
この花は、レイラの花のしおり。
「いい加減気づけよな」
肩を震わせ笑いをこらえるイェンと、手にしたしおりを交互に見てイヴンは目を丸くする。
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