終章

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「僕なんてこの先不安でしかないのに、イェンはやっぱりすごいよ。でも僕、驚かないよ。いつもおかしなこと言ったり、ふざけたりするイェンだけど、実はものすごく頭がいいってこと知ってるから」 「それは違うな」 「違う?」  イヴンは首を傾げる。 「頭がいいんじゃなくて、要領がいいだけだ」  腰に手をあてイェンは得意げに笑う。 「その気になれば、何でもそつなくこなしてしまうところが俺様のすごいところ」  エーファが聞いたら、この馬鹿、調子にのって、と呆れられてしまうところだろう。しかし、イヴンは違った。 「そんなイェンが、本当に僕と一緒にヴルカーンベルクにまでついてきてくれるなんて、やっぱり信じられないよ」 「なに? まだそんなこと言ってるわけ? なんならここで、おまえの前でひざまづいて忠誠の誓いでもたててやるか?」 「え!」  と、イヴンは顔を引きつらせ後ずさる。
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