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「僕に忠誠を誓う?」
「そうすれば、おまえも信じてくれるかってことだ」
「ひ、ひざまづいて……?」
「そ、誓ってやってもいいぜ」
「イェンが僕に?」
ごくりと唾を飲み込んで、イヴンはさらにもう一歩後ずさる。
「他に誰がいるってんだよ」
というイェンの態度はやっぱり偉そうだ。
王族であるイヴンのほうがすっかり恐縮してしまっている。
どちらが主人かわからない。
「い、いいよ」
「なんで?」
「いいから! そんなことしなくていいから!」
「なんだよ遠慮するな。この俺が誓ってやるって言ってんだからありがたく思えばいいだろ?」
「ほんとやめて。イェンが僕にひざまづくとか想像もつかないし、なんか複雑な気分になるし、それに、だいたい偉そうに言うこと?」
いやいやをしながら首を振って、もう一度視線をあげたイヴンの目に、手を振るリプリーの姿が見え頬を赤らめる。
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