7 野犬襲撃!

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「時間が惜しいわ。詠唱は省略。風の精霊よ、私たちを妨げるものすべてを取り除きなさい!」  リプリーの両手から凄まじい風が放たれた。  その風に流されまいと足を踏ん張っている。  同じ過ちは繰り返さない。  風はエーファとイヴンを避け、野犬の群を直撃する。  風の精霊に捕らえられた無数の野犬が一カ所に集められ、そこから竜巻が生じて、その姿を遙か彼方へと吹き飛ばしてしまった。  やった、と達成感に頬を紅潮させるリプリーの足がよろめく。  倒れかけそうになった華奢な身体をイェンは背後から両手で支えて抱きとめた。大きな術の代償は精神と肉体に負担をかける。  イェンに抱きかかえられたまま肩を上下させて息をはずませ、リプリーはイヴンの姿を探す。 「ありがとう、リプリー、僕は大丈夫。すごい召喚術だったよ」  大丈夫だ、と笑っているが、どうみても大丈夫そうには見えない。右腕を押さえているイヴンの指の隙間から、血がにじみ衣服に染みている。 「早く手当を! リプリー動けるなら薬草を」  エーファはマントを外して地面に引き、そこに強引にイヴンを寝かせつけた。  ふと、エーファの視線がイェンとぶつかる。  イェンはしまった、と慌てて目をそらすがどうやら遅かったようだ。
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