7 野犬襲撃!

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「おまえ、治癒とか回復術は使えないのか! いや、できないとは言わせないぞ」 「あの……僕、本当に大丈夫ですから……」 「本人もそう言ってるし、たいした怪我じゃないんだから、そのうち……」 「傷跡が残ったらどうするのだ!」 「男の子なんだから、そのくらいどうってこと……っ」  イェンの言葉が途中で途切れた。  エーファの親指が剣の鍔にかかり指の節一つ分、剣が持ち上がったからだ。 「待って! イェンは回復系の魔術は……」  言いかけたイヴンの口をイェンは手でふさぎ、その場にあぐらをかいて座り込む。 「早くしないか!」  急きたてるエーファの声に、イェンは苛立たしげに髪をかきむしる。 「ちょっと待て、今思い出してみるからよ」 「何だと! 貴様は考えなければ術が使えんのかっ! 回復術は初歩中の初歩であろう!」 「これだから何も知らねえ奴は困んだよな、勘違いしてるみてえだけど、治癒も回復も高等魔術の部類に入んだよ。そもそも傷ついた肉体を……」 「ごたくはいいっ!」  ちっ、と舌打ちをして、イェンは再び腕を組んで考え込む。その表情が、苦痛にゆがんでいるように見えるのは気のせいか。  側ではエーファが殺気だった気を発し、剣先を地面にとんとん、と何度も叩きつけ急き立てる。
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