545人が本棚に入れています
本棚に追加
イヴンの身体のことを気遣ってか、旅の速度は昨日にもまして落ちた。
杉並木を抜けたそこはワルサラ国のお隣の国、ポンフリング国。
一行は、近くの町で朝食をとり、次の町で昼食。さらに三時のおやつをかねて休憩をとる。
疲れているわけでもないのに町が見えれば一休み。茶屋を見つければ小休止。
小腹が空いたと言っては軽食もかねて一服。と、そんな調子で旅はなかなか進まない。
そうして、ポンフリング国の首都パレポレポーヤに到着したのは、すでに日も暮れようとする時分であった。
予定では昼頃には到着する予定であったのだが。
「今夜はこの町に泊まるとしよう。イヴンも疲れたであろう。傷の具合はどうだ?」
「はい。だいぶ痛みも和らぎました。薬草が効いたみたいです」
「よかった。そうだわ、イヴンにも薬草わけてあげる」
リプリーは薬草の入った袋からモエモエ草をひとつかみ取り出し、別の袋に入れてイヴンに差し出す。
最初のコメントを投稿しよう!