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「でも、モエモエ草は万能薬ですごく高価なもの……」
、
「お、ありがてえ!」
遠慮するイヴンの横から、イェンがリプリーの手にしていた袋を受け取り、モエモエ草の葉っぱを一枚つまんだ。
「モエモエ草は精力増進剤でもあるんだぜ。無敵に絶倫に燃えまくる。だからモエモエ草って名前がついたとか、そうでないとか」
しらけた雰囲気が辺りを包む。
イェンを見つめる三人の目がとてつもなく冷ややかだ。
そんな軽蔑の目で見つめてくる視線などまったく気にもとめず、イェンは手にしたモエモエ草をぽいっと口の中に放り込み、袋をイヴンに投げ渡した。
「信じられない! 生で食べるなんて、後でどうなっても知らないから!」
頬に手をあて、リプリーは悲鳴にも似た声を上げた。
けれど、イェンは聞いていない。
「お? 何か元気が腹の底からみなぎる感じ? もっとも、こんなもんに頼らなくても俺はいつだって元気すぎるくらい元気だけどな」
「くだらん」
エーファは顔をしかめて吐き捨てる。
「じゃ、今夜は別行動ってことで」
と、嬉々とした表情と軽やかな足どりで、イェンは賑やかな繁華街の方へと消えて行ってしまった。
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